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自動翻訳のトランスファー方式とピボット方式

 構文構造の解析と意味構造の解析

 これはどういうことかというと、まず形態素解析を経たものが、文法的にいかなる構文であるかを解析する。たとえば、「そのような税制は導入しない、ということは公約したとおりであり、現時点ではまったく考えておりませんが、しかし、財源を考慮すれば、かならずしも導入はないとはいいきれない、と考えていないわげではない、と申し上げてさしつかえない」という、十重二十重の否定が、文法的には否定文であるのか肯定文であるのかを認知することである。

 同時に、意味が適当であるか否かを見る。たとえば「きのう食べたコンクリートアスファルト煮はおいしかった」というのは、文法的には正しい。しかし、意味としてはおよそありえない。かりにソース言語文の単語の組み合わせでこういうおかしな文ができても、意味構造として適当であるか否かをチェックするのだ。

 この構文構造解析と意味構造解析が終了すると、変換のプロセスとなる。構文構造にしたがい、また意味構造にしたがい、一定の規則のもとに英語に変換されるわけだ。

 規則というのは、ソース言語とターゲット言語の照合のための、いわば和英辞書・英和辞書をはじめとするソフトウェアである。これを「トランスファー規則」という。それから、変換処理されたものを英語の構文構造、意味構造にしたがって、ターゲット言語である英語文に変換する“生成プロセス”となる。これが、本格的な実用型自動翻訳装置として主流をなしている”トランスファー方式″である。しかし、この方式にも問題がないわけではない。

 というのも、和英と英和という二言語のみを対象とする場合はともかく、日本語からドイツ語、日本語からフランス語、日本語から韓国語など、複数語間の翻訳となると、それぞれに合致したトランスファー規則を用意しなければならない。人間でいえばバイリンガルどころか、マルチリンガルの語学力が必要ということになる。だが、世界中で数百もある言語の、そのすべてのトランスファー規則を装備するのは合理的ではない。まして通訳電話として考えると、そこまでのシステムを組み込むのはちょっとむずかしい。

 そこで″ピボット方式″というシステムが考えられた。NECの自動翻訳はこの方式である。これは、構文構造解析と意味構造解析から変換プロセスに入るのではなく、“中
間表現”という日本語でもなければどこの国の言語でもない、エスペラントでもない、まったくニュートラルな、概念としての構造にいったん置きかえるものだ。言語にはいっさい依存せず、たとえていうなればソース言語文の内容を図式化したようなものである。

 それからこの中間表現を、あらためてターゲット言語特有の表現と規則に照合し、構文構造を生成し、形態素を生成してからならべかえ、翻訳終了となるのである。つまりはソース言語から中間表現までの解析プロセスとは逆の、生成のプロセスをたどってゆくわけだ。

 したがって、ターゲット言語を変えるときは、この生成プロセスを交換すればよいわけだし、また複数のプロセスを装備すれば、一つのソース言語から同時に複数のターゲット言語にも翻訳できる。しかし、もっと重要なのは、情報伝達が中間表現で行われれば、世界各国の電話システムは自国語の解析と生成の機能をそなえるだけで、すべての言語と相互の通訳会話が可能になることだ。これがピボット方式である。