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望まれる迅速なコーディネート

 

 ー九九二年六月に患者登録が開始された日本の公的骨髄バンクの第一号移植は、半年後に実施された。登録からドナーの検索、そしてコーディネートを経て、さらに骨髄提供の同意を得て実際の骨髄移植にいたるまでに六ヶ月以上を要したことになる。この六ヶ月という期間は、最短期間の場合と考えてよいだろう。現在の骨髄移植推進財団の数少ない人的能力などを考えてみると、これは良くやっているということができるかも知れない。しかし、これでもあまりに時間がかかりすぎていると言わざるを得ない。もっと迅速な対応をとらなければならないと思う。骨髄移植を必要とする患者にとっては、のんびりとドナーの出現を待っている余裕はないのである。

 骨髄移植には、移植が有効な時期というものがある。その期間は限られたものであり、その時に移植を行わなければ意味のないことであるのは、これまで述べたとおりである。時期を失すれば、移植成績は極端に落ちてしまう。助かる患者も助からない、というのでは意味がない。

 そこで問題になるのが、患者とドナーを結びつけるコーディネートにかかる時間的な問題である。ドナー検索の結果、適合者がいた場合にはすぐにコーディネートにとりかかる体制を整えなければならない。現在のところは、財団からコーディネートを委嘱された移植医であるコーディネーターがドナー候補者と連絡をとりコーディネートが行われるのであるが、現実にはこれがなかなか速やかにはいかない。

 なぜなら、ドナー候補者も仕事を持っている場合がほとんどで、そう簡単に連絡がとれるものではないし、コーディネーターの医師も忙しい。病院に電話で医師に連絡をとろうとした経験がある者なら分かると思うが、医師を病院でつかまえるのは至難の技である。では代わりに事務局がそのへんの事務連絡を、とだれでも考えるのだが、この事務局が現在のところ存在しない。財団の機構図によれば、全国に八ヶ所の地区調整委員会がおかれることになっているのだが、実際にはその事務所はどこにもなく、事務局員もいないのである。したがって、連絡業務は忙しい移植医がこなさねばならないのである。

 このようにして、コーディネート業務はズルズルと遅れていっているのが現状である。今後、ドナー登録者が増加していけば当然、適合者も得やすくなっていくであろうことは、簡単に想像できる。そうなれば事務の量はさらに増え、ますますコーディネート業務は遅滞することになる。事務所と事務員を配置するには、当然予算的な措置が必要となってくる。しかし、問題は人命にかかわることである。骨髄バンクの存在意義にかかわることである。骨髄バンクの最重要業務であるコーディネートを円滑かつ迅速に進める体制の確立こそ急務である。