一時は自治省がドナー休暇に冷水

 

 そうした厚生省の動きに、地方自治体の監督官庁である自治省が待ったをかけたのである。地方公務員はすべて国家公務員に準ずるものであるから、国家公務員にドナー休暇が認められていない以上、地方公務員に休暇を認めるわけにはいかない、というものであった。

 厚生省の「縄張り荒らし」に自治省が待ったをかけたかたちであるが、世論は一斉に自治省に対して批判の声をあげた。

 その一方で、愛知県や東京都などの地方自治体はこうした自治省の通達があるにもかかわらず、次々とドナー休暇導入を決定した。また、全国のボランティア組織の連合体である「全国骨髄バンク推進連絡協議会」は、自治省及び人事院に、ドナー休暇を早期実現するよう要望書を提出した。その結果、一九九三年四月一日より国家公務員のドナー休暇を実施すると人事院は発表し、これを受けて自治省は一転して地方自治体に早期に実現するよう指導に乗り出した。そして九三年五月現在、三五の都道府県で地方公務員のドナー休暇制度を何らかの形で実施している。

 やはり、ことは人命にかかわることであり、いつもはお役所仕事と非難される政府も動きは早く、公務員のドナー休暇をめぐるドタバタ劇もわずか四ヶ月ですべて丸く収まることとなった。これまでには考えられないほどのスピード解決であった。

 ドナー休暇などの問題は、民間が先行して形作られ、官庁がそれに追従するかたちで実現していくのが普通である。しかしながら、骨髄バンクのドナー休暇に関しては、完全に公務員のほうが先行して決まっていった。ここには、自治労など公務員の労働組合の取り組みもあったものの、こうした課題は率先して官庁や自治体が決定していかなければならないという自負もあったと思う。また全国のボランティア団体がそれぞれに、積極的に地方行政に働きかけてきた成果でもある。

 すでに一般企業でもさまざまなかたちでドナー休暇を実施しているところもあるが、今後はより多くの民間企業がドナー休暇を認めるようにな1つていくであろう。骨髄バンクのボランティア組織も民間への働きかけに力を入れることにしている。