有給休暇利用でよいのか

 

 公的骨髄バンクのひな型ともなった東海骨髄バンクで自分の骨髄を提供したドナーたちは、どのようにして休業問題に対処してきたのであろうか。結論から言うと、そのほとんどは上司に有給休暇の使用を申し出て骨髄提供を行った人がほとんどである。今さら言うまでもなく、有給休暇はサラリーマンにとっては大きくて、またささやかな楽しみであり、権利でもある。それに、パートやアルバイトの身分では、有給休暇という制度さえないところも多い。しかも職場によっては、権利であるはずのその有給休暇を自由にとれない、というのが日本の現状と言わざるを得ない。ドナーとなって仕事を休むのには、「有給休暇を取り崩せば良い」ですますことができるであろうか。ここのところは良く考えねばならない問題である。

 骨髄バンクは、人々の相互扶助・助け合いの善意から成り立っているものであることは間違いない。そうであるならば、ドナーの休業に個人的な有給休暇を当ててすまそうというのは、「あまりにもひどい理想の社会」と言わざるを得ないのである。

 こうした骨髄提供者の休業問題に関して、まず公務員がドナー登録やその後の検査、さらには骨髄提供時に休むことを特別休暇扱いできるような制度を作ってほしいと、全国各地のボランティア団体では、さまざまな機会をとらえて関係者に訴えかけてきた。地方公務員の場合は「職務専念義務を免除」することで、議会決議の必要もなく、自治体の首長の決断ですむという、言ってみればそう難しい問題でもないのである。全国の地方自治体に対しての訴えも実って、いくつかの成果を上げてきている。

 まず、広島県では県職員のドナー登録や検査・入院の期間を「公務扱い」とすることを決め、一九九二年四月から実施した。その対象者は、教職員や警察官も含めた約三万五〇〇〇人であるという。その後、茨城県、静岡県でもドナー特別休暇制度の採用に踏み切った。