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充実した骨髄バンクにしていくために

 

 骨髄バンクは、骨髄を提供してもよろしいというドナー登録者があって初めて成り立つものである。日本の公的骨髄バンクは、五年間にI〇万人のドナー登録者を目標に置いている。一〇万人のドナー登録があれば、九〇パーセントの患者にドナーが見つかるからである。五万人では八○パーセントの確率といわれている。といっても、これは日本人の場合である。先の報告にもあるように、HLAは人種・民族によって特徴がある。島国で混血の進んでいない日本人はきわめてHLAタイプが似ていて、適合しやすいのだという。これが欧米の場合だと、一〇倍のドナー登録がないと同じ適合確率は得られないとされている。それにしても一〇万人のドナー・バンクを作るというのは並大抵のことではない。

 これからますます骨髄バンクの存在を理解してもらい、一〇万人のドナー登録を達成するには、国民に広く訴えかけていく普及啓発活動が欠かせないであろう。わが国の公的骨髄バンク事業は、財団法人骨髄移植推進財団を中心に行われている。財団は、ドナー募集のために普及啓発活動を担当するほか、患者登録やコーディネート業務を行うことになっている。またドナーの検査受付やHLAデータの管理は、日本赤十字社が血液センター内に骨髄データセンターを設置して行うことになっている。

 こうした各セクションが有機的に協力して機能を果たしていかなければ、骨髄バンク事業は意味がないものになってしまうであろう。だが、いろいろと問題は山積しているのである。この事業の中心的存在の財団は、常勤職員がほんの数名で、何しろ人が少ない。何か催し物をやろうとしても、財団だけでは何もできない。そこで力を発揮するのは、これまで公的骨髄バンクの設立を目指して運動を続けてきたボランティアたちである。全国のボランティアが、財団ができたあとはドナー登録を呼びかける骨髄バンク支援運動の先端に立っている。ボランティア抜きで骨髄バンク事業の推進は到底無理な状況である。

 それに、財団にはお金がない。財団法人というものは元手となる基金があって、その運用益で運営されるものである。骨髄移植推進財団は、当初は八億円の基金を各団体や企業から集めてスタートすることになっていた。しかし折から世間はバブルがはじけたばかり、集まったお金は八億円に遠く及ばない一億一〇〇〇万円ほどであった。それでも、発足を遅らせるわけにはいかない、何しろそうやっているときでも、多くの患者が毎日、命を落としているからである。発足から一年経った一九九二年末現在の基金は二億円となったが、日本の骨髄バンク事業は、こうして少ない基金と、少しばかりの補助金、患者・家族を含む個人の寄付によって運営されているのである。

 さて、それではどのようにしたら今後ドナー登録者が増えていくのであろうか。今度はドナー登録者拡大という視点に立って、現在の骨髄バンクがかかえる問題点を考えていこう。