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骨髄採取費用にかかわる保険の問題

 

 骨髄バンク事業において、現行の健康保険制度には大きな問題点がある。それは、骨髄移植と骨髄採取の行われる病院が、ドナーとレシピエントの個人情報をお互いに知らせないために、別の病院で実施されることからくる問題である。当然のこととして、骨髄採取の行われる病院には、健康保険の適用を受ける患者がいない。つまり、骨髄採取に関しての費用は患者の保険から支払われるのに、採取病院には患者がいないという問題である。

 この点に関して、厚生省保険局の運用基準では次のようになっている。

   「骨髄採取を行った医療機関と骨髄移植を行った保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、骨髄移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる」

 要約すれば、違う病院で骨髄採取しても保険請求できるが、それは移植病院側で請求して、その分を採取病院に払うということであるが、お金のやりとりはうまく話し合ってやってくれ、ということになる。

 現実的には、骨髄採取に関して発生した保険請求の金額と、患者側の一部負担金を合わせて、移植病院から採取病院に支払うことになる。面倒な作業である。しかしながら面倒なことはともかく、現実はそう簡単にはいかないのである。例えば、国立医療機関の場合は、会計規則で健康  保険の請求や患者の支払により一度病院に入ったお金を、外に支払うことができないのである。この会計規則を改めることは、ひじょうに難しい作業であるとされている。実は、こうした面倒な保険医療費の取り扱いが決まっていないために、一部の国立医療機関では「うちは非血縁者間の骨髄移植はやらない」と辞退しているところもあると聞いている。費用精算というお金の問題が、骨髄バンク事業の大きな障害になっている例である。

 こうした障壁のある中で、非血縁者間の骨髄移植を行おうとすれば、骨髄採取に関しては保険請求せずに、実費を患者が負担して採取病院に支払うということになる。この方法をとる場合でも、患者にドナーの個人情報を教えるわけにはいかないので、第三者が代わって支払わねばならないなど、やっかいな問題が次から次へと出てくることになる。

 何しろ、日本の骨髄バンクはまだ動きだしたばかりで、すべてのマニュアルが完成してスタートとしているわけではない。一つずつ問題を解決しながら、より良い骨髄バンクに仕上げていく手作りの発展途上段階なのである。