骨髄移植と保険点数

 

 病院経営で赤字が出るということは、健康保険に請求して受け取る収入よりも、実際にかかる諸々の経費が大きいということである。健康保険に請求する額というのは、すべて健康保険で定める薬価基準と診療報酬基準で点数(一点一〇円分が実に細分化されて決まっている。もちろん、骨髄移植にかかる費用も定められているのだが、その額があまりにも低すぎて、現状に合っていないのである。

 診療報酬では例えば、骨髄移植そのものは一五万円(一万五〇〇〇点)となっており、その中には家族間のHLA検査やMLC検査、マルクの費用も含まれているのである。ドナーの骨髄採取に関しては、わずかに一万二〇〇〇円だけである。

 入院して大部屋ではなくて少人数部屋に入ると、どこの病院でも差額ベッド料金をとられる。個室に入ると、一日で三万円も五万円もとる病院がある。では無菌室に入ると、いくらかかかるのであろうか。無菌室に在室すると、保険では通常の入院費の他に無菌室加算というものがつくが、その額は一日一万円である。これは安い。無菌室はそれ自体の広さに加えて、さまざまな機材や準備のための広さが必要になり、かなりのスペースがなくてはならないものである。それで一日一万円ではかわいそうである。それに、付きっ切りの看護婦のことを考えると、これでは人件費もでないことになる。どうしても、集中治療室(ICU)なみの一日四万円から五万円に引き上げる必要があるといわれている。

 そのほか、保険点数の問題はまだまだある。レシピエントはGVHDの予防のために移植後、最短でも半年以上にわたって免疫抑制剤のサイクロスポリンを服用するが、その服用量は血中濃度を測定しながら決定される。だがその血中濃度の検査費用は、移植を行った月だけしか保険では認められていない。使用する薬剤の種類や量までもが保険で決められており、大量投与の効果が分かっているのに保険では認められていない薬があるなど、細かいことをあげていったらきりがない。

 いずれにせよ、骨髄移植関係の保険点数を大幅に引き上げていくことは急務であると考える。保険点数の引き上げで、患者負担の増額の心配はない。高額医療費補助の制度で、患者の支払う上限金額は決まっているからである。保険点数の整備で、骨髄移植をやってみようという病院が増え、無菌室の増床につながることを期待したい。