白血病治療と骨髄バンク



 ガンの治療方針が確立していると言えるのは、生存率・治癒率が九〇パーセントを超えていなければならないというのが私の個人的な考え方です。そういうガンというのは例えば、小児ウィルムス腫瘍、ホジキン病、睾丸腫瘍、早期胃ガン、早期乳ガンなどでは九〇パーセントという数字がでていると思います。白血病となりますと、唯一子どものスタンダードーリスクの急性リンパ性白血病が世界中で一定の成績が得られるようになって、同じような考え方ができるようになってきました。

 しかし白血病全体につきましては、治療成績にまだ個別的な差が大きくありまして「実験的な治療」と考えるべきであると思います。さらに、非血縁者間の骨髄移植というのは、まだデータが十分に集まっていないという点もありまして、「合併症による死亡も高い実験的な治療」といえるのではないかと思います。実験的治療であるからこそ、やはり十分理解していただいた上で踏み切る必要があって、インフォームド・コンセントがひじょうに大事になってくるのだと思います。

 そして、ここで骨髄バンクに関しまして、私からの問題提起をしたいと思います。

 本当に非血縁者の骨髄移植を受けていただきたい患者さんに、最初に寛解導入できない方がいます。小さな子どもさんにはまれなんですが、中学生や高校生には時々います。

  「薬が効かなくて寛解に入らない方を、骨髄バンクをとおしての非血縁者の移植で助けたい」というのが、私のいちばんの興味があるところです。

 ところが、骨髄バンクの患者登録の適応には今のところ、ただ条件が悪いから抜こうという話もでています。そういう患者さんを、亡くならないように長期的に上手にマネージメントする方法はずいぶん進歩してきました。その方たちを半年、一年と全身状態を悪くしない上で、骨髄移植で助けたい、というのが私どものいちばん大きな希望です。初回寛解不能例というのも、今後患者登録の適応に入れていただききたいと思います。