再生不良性貧血と骨髄バンク

 

 重症の再生不良性貧血の場合、血液中の白血球が極度に減少してしまう。白血球の数が少ないということは、身体に抵抗力がなくなり、さまざまな感染を引き起こしやすくなる。そこで問題となるのは、骨髄バンクによって非血縁者間の骨髄移植を行おうとするとき、移植までに要する時間的問題である。現在、欧米などの骨髄バンクの場合、患者登録から移植が行われるまでに四ヶ月から六ヶ月の時間がかかっている。それだけの時間が経過する間に、重症の再生不良性貧血の患者は感染症で死亡する確率が高いという。したがって現実的には、最重症型の再生不良性貧血には非血縁者間骨髄移植を行うのは困難なことであるといわれている。

 患者登録からHLAデータの検索に入り、ドナーの二次検査、MLC検査そしてコーディネーションへと進むには、一定の時間が必要である。しかしながら、そうしている間にも非血縁者間骨髄移植を必要とする患者たちが次々と死亡していっている、という現実がある。ドナー決定までの作業に手抜きは許されないが、何としても早急にドナーの決定と移植を実現してもらいたいと思う。そうでなければ、骨髄バンク本来の機能が欠けているといわれても仕方がない。日本の骨髄バンクの対応に期待したい。

 欧米では、血縁者にHLA一致のドナーがいない場合はまず免疫抑制療法を試み、それでも症状に変化がみられない時は長期間の観察を待たず、三ヶ月をもって非血縁者間の骨髄移植の準備に入ることが多いようだ。それは、再生不良性貧血患者には度重なる輸血が行われるからである。ところが輸血歴が増えれば増えるほど、骨髄移植の治療成績が良くないことが指摘されている。

 わが国での再生不良性貧血の治療を進めていくためには、さまざまな課題が残されている。骨髄バンクの整備もそのひとつであるが、有効な薬剤の開発とともに、免疫抑制療法に使われる薬剤の保険適用など、解決しなければならない問題は多いといわざるを得ないだろう。

 ▼ 白血病専門医による白血病治療の思考方法

 再生不良性貧血の五倍の発症頻度を持つ白血病である。

 白血病治療は、一九七〇年までは化学療法が唯一有効な治療法であった。その後二〇年ほどの間に、血縁者、非血縁者の提供者から骨髄を受けての同種骨髄移植と自家骨髄移植が、化学療法にとって替わる勢いである。確かに、慢性骨髄性白血病や進行性の急性白血病では化学療法で完治した例はないから、骨髄移植は優れた治療法といえるであろう。しかし、これまでにさまざまな臨床医から指摘されているように、急性リンパ性白血病や初回寛解中の急性骨髄性白血病では、移植が化学療法より優れているかどうかは疑わしい。今いくつかの症例については、化学療法と骨髄移植とでは、どちらが良いのかが議論されているところである。