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MBD (または多動児)のとらえかた

 

 「微細脳障害」という医学用語は、中枢神経系の軽度の機能異常、あるいは発達のズレが原因で生じてくる行動や認知機能の、ある種の障害にたいして用いられてきた.「特異的学習障害」という用語は、これらのなかの主要な現象の一つに向けられたもので、このような子どもの教育上の取り扱いから、教師が好んで使っている.

 たいていの学校で、子どもたちの10%は学習についていくのが難しいと推定されている.

 その原因は精神遅滞であり情動障害であるが、その他に、知能は正常であるのに学習が特異的に障害されるグループがあり、これは長い論争の歴史のあと微細脳障害(minimal brain dysfunction : MBD)として、共通の症候群を示すグループにまとめられた.しかしこれにたいしてもまた異論があり、 MBDの主な症状とされる注意の欠如や、落ちつきのないことを共通の特徴として、「多動症候群」あるいは「注意集中障害」というグループ分けもよく用いられている.

 臨床像と診断について、まだ全面的な同意が得られていない点は自閉症と同様である.歴史的にみれば、この混乱が少しは理解できるだろう.

 1940年代にシュトラウス(Strauss)とウェルナー(Werner)は脳損傷児をしらべていた.既往歴から、神経系に外因性の損傷をもつ者ともたない者との2群に分け、情動行動と認知行動をくらべてみると、神経系損傷の既往歴をもつ子どもには多動、情動不安、認知障害、注意散漫、行動のかたさ、つよい固執性などの見出されることが多かった.「脳損傷」という用語が使われるようになったのは、このグループの子どもたちにたいしてだった.ところが彼らの大部分は、はっきりした脳損傷を示さなかったので、それと対応させるために「最小(minimal : 微細と訳されている)脳損傷」という用語が提唱された.その後も、この子どもたちの脳に損傷があるという実証はほとんど得られなかったが、このレッテルだけは生き残って広<使われた.

 その後、はっきりした脳損傷があるというよりは、むしろ中枢神経系のデリケートな機能の乱れがあることを示唆するデータが出てきた.そこで、脳損傷という語はしだいに影がうすくなり、中枢神経系の機能不全あるいは未熟の可能性が強調されるようになった. Clementsはminimal brain dysfunctionsyndrome (MBD症候群)と呼ぶことをすすめている.