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自閉症の定義と症状:社会的関係の障害

 

 アメリカのNational Society for Autistic Children (NSAC)の定義(1978年)によれば、自閉症は行動から規定された症候群である.その本質的な兆候は、①典型的には30ヵ月齢より前に現れ、②発達の進み具合と(あるいは)順序の障害、③感覚刺激にたいする反応の異常、④話しことば、言語、認知能力の障害、⑤人びと、できごと、物とかかわり合う能力の障害.

 以上の5項目を満たすことが、自閉症の操作的な判定基準とされている.この定義はアメリカのRitvoとFreemanが作った案を、 NSACの専門部会と幹事会で検討し、その合意を得て作成されたもので、 Ritvo-Freemanの判定基準とも呼ばれている.

 イギリスのRutterは5歳までの行動から、4項目の判定基準によって自閉症を次のように規定している.①30ヵ月齢までの発病、②社会的発達の障害(多くの特徴があり、子どもの知的レベルと対応しない)、③ことばの発達のおくれ・ずれ(これにも一定の特徴があり、子どもの知的レベルと対応しない)、①常同的な遊びのパタン、異常な没頭・忘我・夢中、あるいは変化にたいする抵抗としてみられる「同一性の固執」.

 定義としてはこれでいいとしても、ラター自身も書いているように、実践の場ではこの定義だけでは不十分であり、IQレベルや神経学的(あるいは、もっと広く医学的)な状態の観察・記述が必要である.

 自閉症の症状

 追跡調査で分かってきた最も重要な発見の一つは、自閉症児の行動が年とともにいちじるしく変わることである.社会的、概念的、強迫的な障害は存続することが多いが、幼年期の症状とは変わったかたちで見られる.

  社会的関係の障害

 自閉症児の社会的な発達にはいくつかの特徴がある.第1に、ふつうならば5歳までのあいたに最も目ざましい人との結びつき、人にたいする愛着行動か見られない.家のなかで親につきまとったり、帰宅した親にとびついたり、悲しいときに親の所に慰めを求めてくることがない.しかし、ふつうには人びとから身体的に遠ざかったりせず、くすく謁・とびはね・荒い扱いなどを喜ぶ.

 0~1歳のあいたに、抱かれようとして腕を出すといったような予測的な姿勢を示さないことが多い.他方、知能の比較的高い子どもでは、2歳になっても社会的異常のはっきりとしないことがある.

 もちろん、人との結びつきの障害は自閉症児以外にも見られる.たとえば、不備な施設で育てられた子どもでは、しばしば人との結びつきが発達してこない.しかし、自閉症児とちかって、これらの子どもたちは愛着行動を示し、人にまといつき、注意を自分の方に向けようとする.

 第2に、眼を合わさないのが自閉症の特徴だと一般に言われている.しかし、かれらに特徴的なのは人の眼を見つめる量ではなくて、その使い方だという考えがある.ふつうの人が眼を見つめるのは、人や物を識別するとき、人の注意をひきたいとき、人にたいして攻撃的であるとき、あるいは人に話しかけられているときなどである.自閉症児はこのような見つめ方をしない.高度の不安、あるいは非常な恥ずかしがりな子どもの視線の合わせ方も、自閉症児とはちがっている.

 第3に、5歳頃からのち社会的障害は目だたなくなる(すくなくとも程度が軽くなる)が、深刻な社会的困難はつづく.すなわち、①他の子どもだちとの協同的な集団プレーの欠如、②個人的な友人がつくれない、③感情移入の欠如、他人の感情や反応を感じとれない.このため、しばしば社会的に不適当なことを言ったり、したりする.