てんかんの全般発作(generalized seizures)

 

 全般発作が部分発作と異なることは、発作が突然前ぶれもなく始まり、けいれんを伴う場合でも両側性左右対称的とか全身的におこって、発作開始とともに意識がなくなることが多い点である。このような発作の特徴としては、特定の脳の部位に発作が限局せず、意識消失を特徴とし、異常脳波も脳の全体から記録される。

 ペンフィールドは、間脳や中脳などを中心とした、中心脳系(centren-cephalic system )を意識の中枢と想定し、全般性のてんかん発作は中心脳系で生じたものが、大脳全体に広がることにより生じたものと考え、このようなてんかん発作を中心脳性発作と呼んだ。

 a。欠神発作一欠神発作のうち、突然、短時間意識が消失し、その時に両側性左右対称性に、 3 Hz前後の棘徐波結合が出現するものを定型欠神発作(いわゆる小発作:petit mal)という。意識消失のほかに、しばしば運動や自律神経症状が加わり、脳波も左右非対称で1。5~2。5Hzの遅い棘徐波放電であるものは、非定型欠神発作と呼ばれている。後者の場合、意識障害は短時間で、その程度も軽いが、症状が現われたり、終わったりする経過は、定型欠神ほど急激ではない。また、定型欠神は、刺激などによって発作が誘発されやすく、抗てんかん剤にたいしてもよく反応するが、非定型欠神は脳波の基礎波の律動性に欠け、徐波が著明に多いことや睡眠時に多くみられることなどを特徴とし、抗てんかん剤の効果もあまりおもわしくないことが多い。

 b。ミオクロニー発作一筋が瞬間的、不随意的にれん縮する現象は、ミオクローヌスと呼ばれ、これはてんかん発作以外でもおこる。てんかん性のミオクロニー発作は、両側性の四肢、頭部、躯幹の屈筋におこることが多く、次に述べる強直発作や間代発作としばしば合併しておこる。ミオクロニー発作は、精神発達遅滞児においてしばしば観察されるが、反復性があり光閃光刺激を与えた時や睡眠から目ざめたとき、あるいはびっくりしたり精神的緊張が生じたときなどに誘発されやすい。脳波は、多棘徐波を特徴としていて、ミオクロニー発作に続いて強直一間代発作がしばしばおこる。

 c。間代発作一主に幼児期におこりやすく、この発作がおこると意識消失と同時に全身性にリズミックに筋の緊張と弛緩がくり返される。脳波は不規則な棘徐波結合を示し、乳児期の難治性てんかんであるウェスト症候群でよく認められる。

 d。強直発作一発作後、ただちに全身をこわばらせ、短時間呼吸も停止し、速脈や瞳孔散大などの一連の症状を呈する。持続時間は、数秒から10数秒と短く、年少兒で多く認められる。

 e。強直・間代発作-この発作は、大発作(grand mal)とも呼ばれ、発作開始とともに呼吸が停止し、全身が強直し意識が消失する。強直・間代発作の経過は、強直性けいれんに続いて間代性けいれんが生じ、これが30秒くらい続く。この間は、完全に呼吸は停止していて、その間の記憶もまったく失われている。間代性けいれんが終わると呼吸が再開され、その際に口内にたまっていた唾液が、歯のあいだからおし出されるために、いわゆる、“あわを吹ぐ状態となる。その後、意識は徐々に回復するが、そのまま自然睡眠に移行してしまう場合もある。

 f。脱力発作一姿勢を支える諸筋群の筋緊張が、突然低下、消失する発作で、姿勢を維持しつづけることができず、転倒したりくずれ落ちるようにしゃがみ込んだりする。脳波は、多棘徐波を主徴としていて、意識が低下することもある。

 部分発作や全般発作のいずれにもあてはまらず、臨床所見や脳波所見からも分類が困難なものは、すべてこれに含める。