運動障害の治療教育

 

 運動障害全般について言えることでもあるが、脳性マヒに限ってもその発見ないし発症の時期によって、治療的な手だても変わりうるし、さらに障害の夕イプや内容によってもそれは大きく変わりうる。近年、リハビリテーションへの認識と期待が高まり、また医療の独立分野としてのリハビリテーションの新たな構築が追求されるなかで、脳性マヒの療育内容も急速に変化してきているといえる。

 古典的な治療分野としては理学療法(physical theraphy)がある。ボイタやボバース夫妻による新しい療法の開発も、理学療法の範疇から出発したものであった。ボイタの技法は乳児期に焦点をあわせ、筋の低緊張にたいして、強い刺激で反射的な腹這いと寝返りを賦活することを基本としている。ボバースらの技法では、脳障害によって原始的な反射l生の異常パタンが残るのにたいして、これを極力抑えながら、正常に発達すべき立ち直りや平衡反応を促進させようとするものである。


 正常姿勢反応、および支持と運動コントロールのための重力に対する姿勢緊張を発達させる

 (2)異常姿勢反応と異常姿勢緊張の発達を肚LI二する

 (3)後に自立して食事をとったり、着物をきたり、洗ったりするのに役立つ機能的な運動パターンを、ハンドリンクや遊びを通して与える

 (4)拘縮や変形を予防する(穐山による)[促通法](ファシリテーション・テクニク)

 上記の正常な運動パターンを促進(ファシリテーション)して、後に出てくる異常運動パターンの出現を抑制すること。正常な運動パターンとして、①正常な姿勢筋緊張、②反応に必要な正常な相反神経支配の働き、③正常な協調性をもった運動パターンをあげ、その促進をはかることに適用される傾向が強く、その統一的な体系化までにはいたっていない。上田(1984年)は、前者を発達の最も初期に、後者を、障害の固定化がより進んだ段階に最も有効に適用できるのではないかとそれら相互の連続性・一貫性を想定し、さらに理学療法などの基盤とする身体機構学的・生理学的な人体の見方のうえに、さらに高次の脳機能学的アプローチとして心理的特性を積極的に動員したより重層的な治療体系の構築の必要性を強調している。とくにアテトーゼ型のように、精神的要因が筋緊張を強める機制にたいしては、心理学的アプローチを含む治療一訓練が有効であろうと述べている。

 脳性マヒの治療法として、その他にもユニークな技法が用いられている(エアーズAyers、ペテーPeto、ドーマンDoman)が、脳性マヒの統合的な療法体系としてそれぞれが位置づけられておらず、ドーマン法などは公式の学会(アメリカCP学会ほか)で科学的根拠に大きい疑義が表明されているにもかかわらず一定の受容・適用がなされている現状で、今後、科学としての運動治療学の確立が強く望まれる。

 運動障害としての言語障害にかんする治療教育は大きい比重を占める。

 その他の運動機能障害の療育については、それぞれ個別的な特徴があって、その対応も多様となるが、一般的な問題としては、筋の不使用による廃用萎縮や異常な筋緊張の配分による関節拘縮などを防ぐための積極的な働きかけ、また二次的な疾患の予防などが重視される。