運動機能障害の多様性

 

 発達過程であらわれる運動機能障害はじつに多様である。

 教育上は、障害が主として運動機能にある場合を「肢体不自由」と総称しているが。肢体不自由をきたす病因やその内容には、まったく異質なものが含まれる。また「肢体不自由」が必ずしも前面にあらわれない場合にもその運動機能に注目すると、かなり重い運動機能障害があるという場合もある。

 運動機能には、骨格系、筋系、さらに神経系が一体となって参加している。これらのいずれに障害があっても、運動機能障害を招くこととなる。したがって、運動機能障害が単独の疾患・症状としてあらわれるばかりでなく、例えば、知恵おくれと運動障害、病弱と肢体不自由などと、他の領域の障害との併存、あるいは二次的障害としての運動障害があらわれるということもある。

 「肢体不自由」に含められる主な障害群としては、以下に大別される。

 ① 中枢神経系障害によるもの

 ② 筋力低下・筋萎縮を内容とするもの

 ③ 骨・関節系の形成・発育障害によるもの
 
 ④ その他、後天性の切断など

 このうち①は、主として運動を構成する中枢神経系の障害に要因があり、一般に運動の発達障害、より広い概念としては脳障害児における運動発達障害とみることができる。したがって、運動機能以外にも中枢神経機能にかんする障害が複合することが多いとみなされる。これにたいして、②③などは末梢の運動実行器官の障害によっている。したがって療育、リハビリテーションの立場も前者と後者とでは、重点のおきどころが変わってくる。

 「肢体不自由児養護学校」で対象とされる運動機能障害児の障害内容は、医療の進歩と相まって、急速に変化してきた。例えば、昭和40 (1965)年では全肢体不自由児のうち、脳性マヒ児は40。 3%たったものが、昭和55 (1980)年には62。8%に比率をましている。つまり半数をこえているのである。