クレチン症、ローレンス・ムーン・ビードル症候群、コルネリア・ド・ラング症候群

甲状腺機能低下症(クレチン症)

 クレチン症は先天性甲状腺機能低下症のことであり、先天的な甲状腺の形成不全によるものが多い。クレチン病では、甲状腺ホルモンの合成・分泌の障害により、身体発育障害と知能障害をひきおこす。したがって早期に発見し早期治療することが必要となってくる。

 現在、クレチン病についても新生児スクリーニングテストにより発見が可能となった。新生児6000人に1人の割合で発見されている。症状は、乳児期にはあやしても笑わず、筋肉の緊張度が減退し、顔貌の浮腫がみられる。鼻梁が低く、鞍鼻、両眼開開離があり、全体にいかつい顔貌を示す。首の坐り、歩行の開始などの運動発達はおくれ、身長の増加が少なく下肢が著しく短い。

 治療しない場合には、幼児期・学童期になり、精神・身体の発育が著しくおくれる。動作は不活発、消極的、臆病で従順である。

 (2)その他

 知的発達障害の原因を検討してみると、約85%はいわゆる原因不明であるといわれている。ここでは原因が明らかではないが特定の症状をもち知的発達障害をもつ疾患を記す。

 ローレンス・ムーン・ビードル症候群(Laurence-Moon-Biedl syndrome)は1866年にLaurenceとMoonがはじめて報告し、ついでBardet (1920)が報告した症候群である。

 症状は、肥満、性器発育不全、進行t生色素網膜炎、多指症、知能障害を示す。肥満は顔面、胸部、下腹部、腰部、大腿上部などに著明であるが、四肢ではそれほどではない。

 原因は両親の血族結婚などによる家族的にみられることから、劣性遺伝形式をとるものと考えられているが不明な点が多い。

 コルネリア・ド・ラング症候群(Cornelia-de-Lange syndrome)一約3万人~5万人に1人の割合で出生する。症状は、左右の濃い眉毛の癒合、小さく上向きの鼻、幅広く薄い唇、小頭症、母指球(親指のつけねのふくらみ)の発育不全などであり、知能障害を合併する。原因は不明である。

 結節硬化症(tuberous sclerosis、 epiloia、 Bourneville-Pringles disease)一顔面の皮疹、てんかん発作、知能障害の三主要症状を示す。顔面の皮疹は脂腺腫で鼻を中心に蝶型に左右対象に広がる。

 原因は優性遺伝ではないかと考えられている。

 スタージーウェーバー病(Sturge-Weber disease)顔面の先天性血管腫、先天性緑内障てんかん発作を主症状とし、しばしば知能障害をともなう。皮膚症状としての血管腫は、赤褐色ないし暗赤色を示し、一側の三叉神経領域にみられる。

 原因は遺伝性もしくは胎内性と思われる。

 2-6。他の障害との関連

 知的発達障害は、さまざまな他の障害を合併している。聴覚・言語障害やてんかん、脳性マヒなどである。

 知的発達障害児のなかには聴覚障害を合併するものが少なくない。どの程度の頻度で合併しているかは明らかにされていないが、すくなくとも一般人口中の聴覚障害の頻度よりかなり高いと思われる。しかしながら、重度の知能障害児では客観的聴検、主観的聴検においてもその診断は容易ではない。特に自閉的傾向をもつ重度の知能障害児では、聴覚刺激にたいし反応を示さないことがある。いずれにしても乳幼児期の正しい診断のもとに、必要に応じ聴能訓練がなされるべきである。 言語障害を“コミュニケーション手段として支障のある言語の問題”と規定するならば、知的発達に障害のあるものはすべて言語障害を有しているといえるであろう。言語は知能と密接に関係しているから、成人しても重度で精神年齢が1歳未満の子どもでは言語表出がまったくないし、軽度の知能障害の場合には日常生活に支障なくコミュニケーションできることもある。