先天性代謝異常:フェニールケトン尿症、ガラクトース血症、脂質代謝異常

 

 先天性代謝異常症とは、病的遺伝子により劣性遺伝形式によるものである。病的遺伝子とはある酵素が先天的に欠如しており、そのために脂質、アミノ酸、炭水化物などの代謝異常をひきおこす。これらの先天性代謝異常症による知能障害は約100種類あるといわれている。

 先天性代謝異常のある種のものは、早期発見・早期治療により知的・身体的発達の障害を防ぐことができる。現在、新生児を対象としてスクリーニングを実施し、早期発見が可能となっている。その際、新生児から微量血液を採血濾紙に採取し、各種の先天性代謝異常症を検出するマルチスクリーニングを実施している。現在実施されているスクリーニングの対象の主なものは、フェニールケトン尿症、メイプルシロップ尿症、ヒスチジン血症、ホモシスチン尿症、チロシン血症、ガラクトース血症などであり、このほかに合わせてクレチン症もその対象となっている。

 (1)フェニールケトン尿症

 アミノ酸代謝異常の一つであるフェニールケトン尿症は知能障害、けいれん、赤毛などを症状とする疾患である。その発生機序は、先天的にフェニールアラニン水酸化酵素が欠如しているため、食物に含まれるフェニールアラニン代謝産物が全身に蓄積されるのである。したがって早期に発見し、フェニールアラニンを少くしたミルクを与えるなどして治療することにより、障害の発現を予防することができる。

(2)ガラクトース血症

 糖質代謝異常としては、ガラクトース血症がその代表的なものである。精神身体発育不良、黄疸、腹水、肝脾腫大、けいれんなどの症状を示す。本症は母乳、ミルクのなかに含まれる乳糖が消化されてできたガラクトースを分解するガラクトースー1-リン酸ウリシルトランスフェラーゼが遺伝的に欠如するために、尿中や血中に多量のガラクトースがみられる。

 (3)脂質代謝異常

 脂質の代謝異常としては、ティーザックス病(黒内障性白痴)やゴーシャー病、ニーマン・ピック病などがある。