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感覚機能の発達:形態的発達

 

 感覚器官の発生は、胎内でもかなり早い。他の機能と同様に、機能的な発達分化は、頭一尾則(cephalo-caudal principle)と近位遠位則(proximo-distalprinciple)にしたがう。しかし、運動機能の発達にくらべて、胎内での感覚受容の指標は明らかにしにくいので、感覚機能的な発達段階を区分することはむずかしい。

 すでに胎生2ヵ月の終わりごろには、鼻口腔領域(三叉神経支配)の触刺激に反応できる。そして、ここから急速に全身にひろがり他の末梢神経系にもおよぶ。14週ごろには、ほとんどの体表面の痛刺激に応答を示す。多くの反射が胎生4ヵ月であらわれるので、すでに、触覚機能は十分に作動できるようになっているといえる。しかし、その統合は脊髄レベルのものである。胎児は羊水を飲むので、味覚受容器や鼻腔粘膜の嗅覚受容器の刺激も、すでに胎内で経験している。音響振動にたいしては、かなり大きい音であれば、心電図の変化(胎生29週)や胎児の運動を誘発する(胎生26週)ことも知られている。

 しかし、聴覚、視覚などは、出生後の環境刺激条件のなかで、急速にその発達が促進され、また可塑性も大きい。

 (1)形態的発達

 主な感覚系の器官形成をみてみよう。皮膚感覚については、すでに8週齢の胎児で、末梢性の感覚神経が皮膚上皮にのび、翌9週齢では、皮膚とのコンタクトがみられる。しかし受容器自体の存在は未確認である。

 味覚については、動物では舌の粘膜に末梢神経がのびるとすぐに味蕾の分化をおこすが、人間についての報告としては、在胎12週の胎児で、舌の乳頭に成熟した味蕾がみられるという。その数は出生時にほとんど出そろって、以後青年期まで変わらない; さらに、嗅覚の原基は、すでに4週齢児で認められる。

 前庭器と聴器とは、発生的には同一の起源をもち、4週ごろに両者が独自の形態形成に進む。前者では胎生7~8週で三半規管と前庭器の形成が確立し、約12週で仕上がる。後者では、6週齡で蝸牛が弯曲しはじめ、12週には聴神経とのコンタクトがみられて、6ヵ月終り段階では形態上ほぼ成熟する。

 視覚系では、胎生4週の初めごろに、神経管の一部が隆起し、ふくらんで眼胞をつくる。やがてそれが盃状の眼杯となり、盃の内側面が神経節細胞の配列されるところで、ここから視神経が出てゆくことになる。水晶体や角膜はそれより遅れて形成される。こうして胎生第6週(体長約13㎜胎芽)には眼の構造がほとんどできあがる。胎生6ヵ月ごろには眼瞼の開閉がみられ、視力のもっとも鋭くなる黄斑部が活発に形成される。

 このように視覚器官の形成はかなり早くから進行するが、出生時の状態は、他の感覚に比べると解剖学的にも未熟であり、生後もひき続き発育をつづける。網膜の錐体細胞の数が成人なみに揃うのは生後約4ヵ月とされているし、さらに瞳孔収縮を調節できる毛様体筋は、4~5歳でようやく十分な働きができるようになるという。