聴覚

 

 聴覚系は、 (1)外耳・中耳の伝音系、 (2)内耳の聴覚受容系、 (3)聴神経から大脳皮質聴覚野までの聴覚伝導路と中継処理系、(4)大脳皮質における情報処理系、 (5)聴覚反射系などである。

 ここでは、初めに聴覚にかんする基本的な物理的心理的概念を述べ、そのうえで上記(2)および(3)(4)における生理的機序について例をあげながら述べる。

(1)聴覚の性質音は気体の振動圧として聴器を刺激するが、どんな音もある周波数(振動数)の正弦振動の合成されたものと見なされるので、聴覚として受容される周波数範囲を測定すれば、基本的には可聴範囲を決めることができる(純音聴力)。音の大きさについても同様で、各周波数ごとの振動の振幅(音の強さまたは音圧)のうち聴取可能な範囲が求められる。このようにわれわれの聴覚が対象とする音の世界は、周波数とその振幅によって一義的に規定される。物理的属性としての周波数は、感覚的には「音の高さ(ピヽツチ:pitch)」として、また振動の振幅または音圧は、感覚的には「音の大きさ(ラウドネス:loudness)」として評価される。

 聴覚の最小可聴値は、物理的な音圧としては周波数によって異なる。そこで、感覚上で等価な「最小可聴値」を基準にとって、その音圧にたいする相対的な音圧の比を、「音の大きさ」としてあらわす方法が用いられる。dBは「デシベル」とよみ、対数尺度(ペル)をさらに10倍に細分化した単位ということである。基準音を1、000Hzの最小可聴値の音圧に相当する圧にとった尺度を音圧レベル(SPL)という。基準音を各周波数ごとの最小可聴値とする尺度を感覚レベルという。聴力をあらわすときは、多数の健聴者の平均的な最小可聴値を基準としたSLを用いる。

 人間の音声は、およそ150―6、000Hz範囲の振動成分からなり、その大きさは会話時には60dB程度であるから、人間の可聴範囲(聴野)のもっとも中心に位置する音響刺激といえる。

 聴力はもっとも一般的には純音聴力であらわされる。基準閾値(OdB)-JIS規格で定められているーからどれだけ聴力の損失があるかをグラフ表示する(オージオグラム:audiogram)。

 音の振動は、空気を媒体とするほか、頭骨を経て直接に内耳に伝わるものもあり、これは骨伝導とよばれる。外・中耳に傷害があっても、骨伝導によってある程度の聴力が保たれる。

 語音の聴取能力を測定するためには、「語音受聴明瞭度試験」がある。有意昧音声が無意味音声よりも受聴結果がよい。

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