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皮膚感覚

 

 皮膚感覚の種類には、触覚、温度感覚(温・冷感覚)、痛覚などがあげられるが、それぞれにまた多様な変化がみられる。たとえば触覚には、圧、触、振動、くすぐったさなどの相違がある。しかも、それらの感覚の受容器の種類がたくさんあって、各感覚ごとの分化は、他の感覚ほど明瞭ではない。たとえば、皮膚の無毛部で触刺激に応答するのは圧受容を主とするメルケル盤やマイナスー小体などの受容器であるが、有毛部ではルフィニ終末とか毛包をとりかこむ神経終末などの受容器である。しかし振動的な圧刺激に対しては、両部位ともパチニ小体が加速度検出作用をおこなっている。特殊な受容器をもたずに、神経の末端が直接に受容器の役割をする自由神経終末は、痛覚をうけとるほか、温度受容器としてはたらくものもある 。

 このように皮膚感覚には、ほとんどいつも複数のタイプの受容器が関与しており、感覚の種類の明確な区分が困難なことが多い。

 皮膚感覚の重要な性質のひとつは、空間的弁別能力である。実験的にはディバイダの2本の脚を一定間隔にして、軽く皮膚を刺激したときに、2点として識別できる距離として測られる。舌先や示指先はきわめて鋭敏であるのに対して、大腿部や背部などでは、弁別閾は大きい。当然、受容器とその神経支配の密度の相違によることがわかる。しかし、指先を活発に利用している視覚障害者において、この弁別閾を測定した結果によると、晴眼者と相違がないことから、指先の弁別力の鋭さが変わりうるとすれば、それは中枢性の機構によるものであろう。皮膚感覚を代償機能として活用する試みも多いが、以上のような特性が、身体のどの部位を用いるかによって、適切に評価されなければならない。

 痛覚は、皮膚への侵害性の刺激にたいする感覚であり、感覚のなかでもっとも原始的であるとともに、身体保護という点でもっとも基本的でもある。痛覚の分布密度も他の皮膚感覚にくらべて大である(圧覚:痛覚=1:9)。身体の組織が損傷されると、ブラジキニンというような物質(発痛物質とよばれる)が生産され、それが自由神経終末を刺激して興奮させるといわれている。

 痛覚にも質のちがいがある。そのなかには直接の損傷部位だけではなく、その周辺部へも拡延するもの、二次的感覚として、不快感や情動的・情緒的反応を強く生じるものなどがある。一般に慣れがおこりにくいという特徴がある。

 上位脳に傷害があるとき、脊髄の機能状態をしらべるのに、皮膚の痛刺激にたいする屈曲(逃避)反射をみることがある。重度の障害児では、痛覚の感受性が低下していることもあるので、身体保護には特別の注意が必要である。

 固有感覚と皮膚感覚とをまとめて、体性感覚(somatic sensation、somesthesia)とよぶ。その求心性上行路をみると、皮膚感覚は、脊髄に入るとすぐか、または脊髄の節をいくつか上行してから反対側に移行して上行する。一方固有感覚は、脊髄内部では同側を上行し、脳幹に達してから反対側に移行する。したがって、脊髄のある高さのレベルで、左右のいずれか半側が損傷をうけると、そのレベル以下の身体部では、同側の固有感覚、反対側の温・痛感覚がマヒし、また触覚の一部は両側性に劣化する。運動性の下行路は、すでに同側へと移行しているので、同側の運動マビがおこる。これらはBrown-Sequard (ブロン・セガール)症候群とよばれる。

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