製薬会社には2種類ある:ピカ新、ナミ新、ゾロ品

 

 ひとつは、主に医療機関で処方される薬を作る医療用医薬品メーカー。もうひとつは、医師の処方せんがなくても薬局や薬店で購入できる、大衆薬を主に作る大衆薬メーカーだ。先はどから話題に上っている制度改革の波にもろにさらされるのは、日本の全医薬品生産額の約85%を占める医療用医薬品のことなのださらに、その医療用医薬品のメーカーの中でも、先発品メーカーと呼ばれ、新薬を開発できる能力のある約100社のメーカーと、そうした新薬の特許切れを狙ってゾロゾロと「ソロ品」と呼ばれる後発品を出すメーカーとに大別される。

 

 日本ではそういったメーカー各社が出している医療用医薬品が約1万4000品目もあって、そのすべてに薬価基準がついている。すべての薬価基準が掲載された本を見ると、同じような薬効をもつ薬が「画期的新薬」(ピカ新)を筆頭に、化学構造が少し違うが非常に似かよった「新薬もどき」があり、最初のものより有効性や安全性が改良された「ナミ新」あり、製剤学的工夫によって有効性を高めたと言われる「ソロ新」あり、ただの「ソロ品」あり、ずらりと20も30もの類似品が並んでいるのだ。開発費用は先発品と後発品では雲泥の差があるのに、そういった同じような薬効のあるグループの中で償還額が決められては、先発品メーカーはたまらないというわけだ。

 

 なにしろ、89年に、外来患者向けの薬を対象にした「参照価格制度」をスタートさせたドイツでも、先発品に参照価格より高い値をつけたところ、シェアがガタッと落ちた。結局参照価格に近い値段に下げざるをえなかったという事態に、大手メーカーが直面した。そして大々的なリストラを迫られることになったそうだ。

 

 そういった事態を回避するため、日本の先発品メーカーの団体である製薬協は、償還基準額制度に代わる制度として、「自由価格給付購入制度」の導入を提案している。メーカーが薬の価格を自由に設定し、健康保険から使った薬の費用から患者の自己負担を除いた分を給付する制度だ。それでは薬剤費は抑制できず、`薬価基準制度をやめる意味がなくなるのではないかという疑問がある。しかし、尾藤さんは次のようにその疑問を覆す。

 

 「メーカー間の競争もありますから、そうそう天井知らずに薬の値段を高くすることもできませんなぜかと言えば、当然、医薬品卸を通してメーカーから薬を買う医療機関は、薬を安く買おうとするわけだから、メーカーとしては不当に高い価格をつけることもできず、値段を下げるインセンティブが働くからです。もし、それでもその薬がもっ価値以上の値段がっく恐れがあるというのなら監視機構をつくればいいと思います。健康保険組合がチェックしていってもいいでしょう。そのなかで淘汰される企業もあれば、伸びてくる企業もあると思いますが、適正な競争がなされているのならそれも仕方ありません。」

 

『知らなかった医薬品業界』より