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末梢血幹細胞移植の利点

 

 

これまで「幹細胞」 「造血幹細胞」という言葉がたびたび出てまいりました。ではそれはどんなものかというと、小さな細胞なんですが、これを二週間ほど培養しますと、たくさんの顆粒球、あるいは好中球ともいいますが、これが生えてきます。奸中球だけではありません。赤血球や血小板も生えてきます。このように一個の細胞が、数千、数万、数十万、数百万と、どんどん増殖分裂を繰り返して、体の中で血小板や白血球を造っていきます。これが幹細胞です。

 

 ところで、今まで幹細胞というものは骨髄の中にしかないように、われわれは思っていました。ところが気がっいてみると、なんと血液の中にも流れていたのです。

 

 白血病の治療の時には抗ガン剤を使いますが、そうすると血小板や白血球は減少します。それが二週間か三週間すると回復してきます。その時、血液中の幹細胞数も増えてきます。正常な人間の血液の中には、ふだんは骨髄の中と比べて百分の一くらいしかない幹細胞が、この時には数十倍のレベルにまで上がってきます。この幹細胞を有効に効率よく採取すれば、骨髄の幹細胞を使うのと同じような移植術ができるのではないか、というのが末梢血幹細胞移植術の考えです。

 

 末梢血幹細胞移植の利点

 

 では、何故こういうややこしいことをするのか、という点についてご説明します。

 

 同種骨髄移植と自家骨髄移植、それに末梢血幹細胞移植という三つの移植術を比較してみます。まず、末梢血の特徴というのは、自家移植と比較して、移植片の中にガン細胞が混ざってくる率が少ないことが当初考えられました。しかしこの点については現在も研究が行われていますが、いまだはっきりとしたことは分かりません。次に、自分の幹細胞を採取して使うわけですから、移植を行う上での副作用が少なくなります。

 

 それともう一点、移植したあとの白血球や血小板の回復がひじょうに早く、だいたい一週間から一〇日すると回復してくるということがあります。ただ問題点は、あくまでも自分の体の中に正常な幹細胞の存在する人にしか適用できないことです。このため、幹細胞レベルまで病気が及んでしまった慢性白血病や、再生不良性貧血、あるいは先天性免疫不全症などの病気には、応用するわけにはいきません。また、幹細胞を採取するためには患者さんをまず、寛解状態に入れる必要もあります。

 

 末梢血幹細胞の採取

 

 というわけで、これからは特に子どもの急性リンパ性白血病に焦点を合わせて、お話を進めてまいりたいと思います。

 

 まず移植の前に、どのようにして幹細胞を採るのか、何か麻酔や手術をしたり、痛いことをするのかというと、そうではありません。成分献血の時に使うのと同じ機械を使って、麻酔も行うことなく採るのです。よく血液センターなどで「成分献血にご協力下さい」と血小板ドナーの募集をしていますが、その際にドナーの方から血小板を採る機械を用いて、まったく同じような操作で幹細胞を採ります。ただし血小板をいただくのに比べて、ちょっと時間が長くかかります。二ヶ所に点滴を入れまして、一回に二時間半くらいかけて、その機械の中にどんどん血液を引っ張っていきます。そして、その中から幹細胞だけを採って、残りのものは体の中に返します。これを、だいたい二、三回くりかえして移植に必要な幹細胞を確保して、使用する時まで冷凍して保存しておくわけです。

 

 採取の最中は、テレビを見たりお話をしたりすることもできます。こわくも痛くもありません。