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日本の非血縁者間骨髄移植

 

 日本の「非血縁者間骨髄移植」のはじまり

 

 実はもう10年以上前から、わが国でも非血縁者間骨髄移植の経験はあります。これは皆さまにもご記憶の方があると思いますが、重症複合型免疫不全症という病気の赤ちゃんをぜひ救おうということで、マスメディアの協力を得てHLAの適合した提供者を探したキャンペーンが何度か行われました。ただ、こうした症例は数がたいへん少なく、おそらく重症複合型免疫不全症における日本の非血縁者間骨髄移植例は、過去一〇年間すべて合わせても桁台だろうと思います。

 

 しかし、そういった時期とだいたい一致して、今度は年間何千人というレベルで発症する白血病だとか再生不良性貧血という病気に対して、HLAの適合した兄弟の骨髄を移植することで効率的に治癒に結びつく治療が確立されてきました。

 

 こうなりますと、年間何千人という人たちのために、いちいち重症複合型免疫不全症のような少数例の病気と同じように「誰それさんを救おう」とキャンペーンをやっていたのでは、とても間に合わないことになります。そこで、不特定多数の患者さんのためにボランティアとして骨髄を提供していただこう、そこに、それを仲介する機構としての公的な骨髄バンクの発祥の源があるわけです。

 

 こうした国の事業としての公的な骨髄バンクのプロトタイプ(原型)ともなった、二年半前に東海地区を中心にできた「東海骨髄バンク」の、この(一九九二年)五月に至るまでの経験を中心にお話したいと思います。

 

 東海骨髄バンクの発足

 

 東海骨髄バンクが一九八九年秋に発足しましてから二年半の間に、ボランティアとして骨髄を提供したいから詳細を教えて下さいと問い合わせてこられた方が一万一〇〇〇人おりました。そのうちパンフレットなどをお送りしまして、提供してもよろしいと(ガキでご返事をいただいた方が半数の五四〇〇人です。

 

 その五四〇〇人のうち二九〇〇人が、今年の始めまでにHLAのタイピング(検査)を終わって、患者さんとのHLAを照合するという実際の対象となる方たちであります。

 

 この二九〇〇人の方たちの中から最終的に骨髄をいただいて、患者さんに骨髄移植を行ったのが三七組あるわけです。三七組あるということは三七人の提供者がいるということなんですが、私どもは提供者に提供時から一ヶ月たった段階でアンケートを行ってきました。その三七人中二八人の方々のアンケート結果を、まず報告したいと思います。

 

 

 非血縁ドナーたちの感想

 

 アンケートの対象となった提供者に、提供前に「骨髄採取時の全身麻酔に不安があったか」という問いに対して二八名が答えているんですが、「まったくなかった」という方が匸一名でした。一方。

 

 「あった」という方が21名と半数以上おりました。骨髄移植で最大の問題の一つに、提供者の負担-麻酔をかけられる-があります。骨髄提供は他の臓器移植と比べると、提供臓器-骨髄―の欠損が残るというようなことはないのですが、麻酔には常に一定のリスクをともなうということは大きな問題であろうと思います。

 

 骨髄を提供したということについての感想は、「ひじょうに満足している」と満足感を表明された方が二五名、「何とも思わない」という方が三名でした。ちなみに、後悔しているという人はおりませんでした。

 

  「もう一度骨髄提供を依頼されたらどうしますか」という問いに対して、四分の三の方に「もう一度提供してもよろしい」という返事をいただいております。東海骨髄バンクの場合は、二度提供したら二度といただきません」とあらかじめ明言しておりますので、二度提供してもらうことはなかったんですが、このアンケートを通じて知ったことは、日本人の中でボランティアの気持ちの強い方がお見えになるのを目の当たりにした、という感じがします。