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ドリンク貧乏性に捧げる、オススメできない裏技:カフェインの強心作用とスピードボール効果

 

 ドリンク剤で問題となるのがあの価格帯である。箱入り千円超クラスの高級ドリンク剤を毎日飲むのは経済的にちょっとツラいだろう。気合を入れるために毎回そんな金など払っていられない。1本300円クラスのモノであればタバコの量が1箱増えた程度の負担でしかないが、それだって月にならせば9000円以上になってしまうではないか。もうちょっと安くすませる方法を考えてみよう。3社とも多様な有効成分を配合して独自のカラーを打ち出しているが、どのドリンクにもカフェインとアルコールが含まれている。実はこれこそがドリンク剤の特徴である「飲んだ途端カア~つと効いてくる感じ」の正体なのだ。

 

 コーヒー等に含まれるカフェインには心拍数を増加させる作用があり、強心剤などにも用いられている。また、ソフトな覚醒作用があるため思考の流れが速やかになり、頭がさえるなどの効果もある、アッパー系のドラッグなのだ。この作用は、一度に500mg(レギュラーコーヒー1杯で約100mg)のカフェインを摂取すると実感できる。軽く走った後のように心拍数が上がり、頭がキンとさえてくる感じだ。

 

 これに対してアルコールはアンダー系のドラッグ。脳の中でも思考・認識・意志・創造性などをつかさどる「前頭葉連合野」という部位の機能を低下させ、頭を鈍らせる効果がある。

 

 非合法ドラッグでも、アッパー系の覚醒剤とマイナー系のヘロインをブレンドした「スピードボール」なるものの効用が云々されている。効力の程度に差こそあれカフェインとアルコールの組み合わせでも、これと同じ「スピードボール効果」とでもいうべきものが得られるらしく、飲んだ途端、体にカア~つと活力がわいてきたかのような感覚を覚えるのだ。念のためいっておくがこれはあくまでも、そんな感じがするだけのこと。ポパイのほうれん草じゃあるまいし、そんな急激に体を活性化させられるわけがない。アルコールによって吸収を早められたカフェインの強心作用とスピードボール効果によって、「元気がわいてきたような気分」になるというだけの話。

 

 さて、カフェインとアルコールがドリンク剤のキモであるとわかったところで、これをドリンク剤より安いコストで摂取する方法を考えてみた。やり方は簡単。市販の無水カフェイン製剤をアルコールといっしょに摂取するだけだ。300円クラスのドリンクには1本あたりだいたい50昭のカフェインが含有されており、無水カフェイン製剤なら、市販薬「エスタロンモカ錠」(エスエス製薬)の場合で1回1錠(100mg)服用となっている。

 

 私は1日約3回、一度に400~500mgの無水カフェイン製剤を薄めの水割り一杯で胃に流し込み、さらに倦怠感のあるときはビタミンB群系の滋養強壮薬などもブレンドしている。これは効く。かなり効く。効くのだけれど、覚醒剤のように活動意欲を高めてくれるわけではないので、「体は超元気なのに気分は最低」なんて状態にもよくなるし、無茶な飲み方を数年間続けてきた報いか、最近持病の不整脈がますます悪化していたりする。やはりまっとうな用法とは異なるものなので、まねする場合は各自の責任と判断において行なっていただきたい。とりあえず副作用については「どんなクスリも毒と紙一重。いいことばかりじゃないんだ」と割り切ることにしよう。

 

 ほんとうはゆっくり休みたいところであるが働かなくては食ってゆけないし、そのためにはたとえその場しのぎであるとしても「手軽に元気になる手段」が必要だ。で、もちろんそのコストは安くついたほうがいい。私の「500mg×3回/日」という量はいくらなんでもむちゃすぎるので、1回100mg、1日2回として計算してみると、1錠あたり無水カフェイン100mg含有の「エスタロンモカ錠」が94一錠入りで、市販価格の相場は1箱350円ほど。月に3箱消費するとしても750円にしかならない。アルコールは……カップ酒とかビールとかワインとかモノによって価格もさまざまなので細かく計算しても意味がないが、とりあえず1本750円の安焼酎を月1本消費するものとする。よって月あたり1500円。これは安い。ビタミンB群配合の「エスフアイト」など他の成分をさまざまな市販薬品によってまかなっても、普通にドリンク剤を飲むより格段に安くつく。あえて難点を挙げるとすれば、液体/錠剤の違いによって成分の吸収速度が遅くなることだろうか。即効性はあまり期待できそうにない。

 

 そうそう、余談をひとつ。ドリンク剤の中には、園芸用栄養剤の一部と同種の成分を含んだものがけっこうある。これも実際に試してみたのだが、元気のない鉢植えの土にドリンク剤をかけたところ、次の日には葉の色ツヤやハリが目に見えてよくなっていた。ある番組では以前、ドリンク剤を投与されて超元気に暴れまわる動物園のサルやソウの姿が紹介されていたし、効くのは人間ばかりというわけではないようだ。「元気に慟いていないやつには生きる価値なんてない」。そんな考えがなんとなく定着している日本の社会において、ドリンク剤は「社会的に死なないため」のクスリとして、必要不可欠なのかもしれない。

 

 

『知らなかった医薬品業界』造事務所著より