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医家向けと大衆薬企業の垣根

 

 医療機関、病院向けの医薬品を製造しているメーカーが医療用医薬品(医家向け医薬品)メーカーと呼ばれているのに対して、消費者が処方せんなしで直接購入できる医薬品を製造しているメーカーは大衆薬(OTC薬)メーカーと呼ばれている。

 

 主な大衆薬企業としては、大正製薬、エスエス製薬、久光製薬ロート製薬などがあげられる。

 

 「大手九社」と呼ばれているのは、医家向けが主体の製薬メーカーの売上高上位九社のことだが、大衆薬トップの大正製薬の売上咼は第一製薬にほぼ匹敵する規模で、大手九社がそのまま日本の製薬メーカーの売上高上位九社というわけではない。

 

 大衆薬一一番手のエスエス製薬の売上高は約六〇〇億円で、全製薬メーカーの売り上げランキングでは持田製薬参天製薬の間に位置している。

 

 医家向け大手も揃って大衆薬を発売しているが、売上高に占める比率はわずかでしかない。その一方、大正製薬やエスエス製薬などは医家向け医薬品も発売しており、前者は医家向け比率二五%、後者は三〇%を目標にしている。医家向け企業と大衆薬企業の垣根は徐々に低くなっているようだ。

 

景気変動の影響を受けやすいが、それでも業績は底堅い

 

 大衆薬市場は医家向け医薬品市場に比べて成長性が高く、八〇年代の伸張率はそれぞ れ五・六%と四・七%だった。

 

 こうした傾向は九〇年代に入ってからも続いている。医家向け医薬品は、薬価引き下げに加えて、定額制の導入など量的抑制の荒波にさらされているが、大衆薬には量的抑 沼制といった。お上の意向”は及んでいない。もともと、大衆薬は消費者が自分の意志で買っているもので、過剰投与といった問題は生じるはずがなく、今後も量的抑制策の影響は受けないだろう。

 

 大衆薬市場の主な医薬品としてはカゼ薬、ドリンク剤・ミニドリンク剤(滋養強壮剤を含む)、胃腸薬、目薬などがある。このうち、八〇年代後半から九〇年代前半にかけて市場拡大のけん引役を務めたミニドリンク剤の成長はさすがに鈍化したが、胃腸薬、目薬などの市場は安定している。また、九三年度には水虫薬市場が急拡大した。

 

 カゼ薬に関しては、インフルエンザの流行の有無など、売り上げは外部環境に左右されやすい。九三年度に関しては、冷夏の影響で各社夏場にも売り上げを伸ばしている。冷夏でメリッ卜を受けた数少ない市場の一つといえるだろう。

 

 大衆薬は、医家向け医薬品よりも景気変動の影響を受けやすく、ここミ二年は市場全体が前年比横ばい、もしくは微減という厳しい環境に置かれていた。それでも、大衆薬メーカーの業績は底堅く、環境悪化による影響は軽微にとどまっている。

 

 前記大衆薬メーカー四社中、九三年度の業績見通しは、大正製薬が増収減益、残る三社は増収増益となっている。

 

 大衆薬市場は、当面は厳しい環境が続きそうだが、それでも九〇年代を通してみれば、医家向け医薬品市場よりも若干ではあるが成長性が高いとみられる。

 

 この中、大衆薬市場で強固な地盤を築き、さらに医家向け医薬品市場にも進出している大正製薬は、大手九社にとっても無視できない存在といえよう。