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業績急回復が期待される田辺製薬

 

 

 売上高では八位、営業利益で九位。

 

 国際的新薬「ヘルペッサー」を武器に、海外依存度は大手中ナンバーワンだが、昨今の円高の影響をモロに被り、加えて独社との提携を解消したことから、九四年三月期には減収を余儀なくされる見通しだ。

 

 「ヘルベッサー」が発売されたのは七四年一月。以来、世界中で販売され、現在でも同社の売り上げ第一位の座を占めるなど、超ロングセラー医薬品となっている。

 

 もっとも、「ヘルペ。サー」以降は、大型新薬の開発に恵まれなかったのも事実で、現在同社の医薬品で年商が一〇〇億円を超えているのは、「ヘルベッサー」以外では八八年に発売された脳循環改善剤「サーミオン」だけだ。

 

 ここ数年、大型新薬が上市されなかったこと、既存薬の成長性が鈍化していることなどから、九二年度の経常利益は八八年三月期のピーク時の六割の水準に落ち込み、さらに九三年度も円高、国内販売の不振などから前期比四割減と大幅に下方修正された。

 

 期待の大型新薬として先陣を切ったのが、九三年に発売さた抗潰瘍剤「カストローム」とACE阻害剤「タナトリル」。ともに自社開発品で、利益率も高い。とくに、後者はピーク時年商二〇〇億円とも、三〇〇億円ともいわれており、同タイプの薬剤でトップシェア商品になる可能性を秘めている。

 

 このほか、心・腎循環改善剤「タナドーパ」、カルシウム拮抗剤「ログナ」、総合輸液製剤「エーアミン」、X線造影剤「プロスコープ」の四品目を申請中。九四年から九五年に発売される見通しで、九四年度以降、新薬が久々に業績に寄与することになる。 また、サンド社との共同開発品である高脂血症治療剤「フルバスタチッ」が臨床後期の段階にある。

 

 現在、高脂血症治療剤市場は三共の「メバロチン」と萬有製薬の「リポバス」の二品だけで一千数百億円の市場に拡大し、さらに成長している。有望市場だけに、多数のメーカーが高脂血症治療薬の臨床開発に取り組んでいるが、他社の開発状況からみて、「フルバスタチン」が三番手の薬剤になる公算が大きい。三番手までに食い込めば大型化も可能で、ピーク時年商二〇〇~三〇〇億円という観測も浮上している。

 

 順調にいけば、九六~九七年にも上市される見込みで、期待通りの大型新薬に育てば、中期展望は非常に明るくなる。

 

 「フルバスタチン」以外にも、ペネム系抗生剤が臨床後期に、中枢神経用剤、超音波用造影剤、血小板凝集抑制剤、免疫調整剤、呼吸器系用剤が臨床中期にあり、今後の展開が楽しみだ。

 

得意分野にテーマを絞り込んだ研究開発目指す

 

 同社の研究開発体制は、大阪・淀川区の大阪工場敷地内に応用生化学研究所、基礎生物研究所、安全性研究所、製品研究所、分析化学研究所を、埼玉県戸田市の東京工場敷地内に有機化学研究所、生物研究所、薬理研究所、薬物代謝研究所を設置している。

 

 海外展開は、欧米に研究開発拠点を設けているほか、アメリカのバイオベンチャー企業と慢性関節リウマチや腹痛・下痢の原因となるクローン病の治療薬の開発で提携している。

 

 従来は幅広い領域を対象に研究開発に取り組んでいたが、今後は得意分野である循環器系、中枢神経系などにテーマを絞り込んで、世界に通用する新薬の開発を目指す方針だ。

 

 「研究開発の強化は当然だが、研究の効率化も必要。ないものは共同研究や外資、異業種とのクロスーライセンスで補っていかなければ」(田辺製薬広報室・渡部保男東京広報担当部長)。

 

 営業面では、MRの質の向上を追求している。MRの評価に質の要素を数量化した新評価基準を導人したほか、田辺高度戦略情報システム(ASIST)によって医薬品・顧客情報を共有化し、組織力の向上をはかっている。

 

 支店の統合、部・課の削減を伴う組織改革、人員の効率的配置といったリストラにも取り組んでおり、利益率の改善が期待される。

 

 その利益率に関しては、売上高当期利益率で八位、営業利益率で九位となっており、財務面では利益率をアップさせることが最大の課題といえよう。

 

 対売上高研究開発費率は、一〇・四%とまずまずだが、研究開発費は営業利益の水準をかなり上回っており、研究開発の一段の効率化も必要だろう。