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研究開発重視の姿勢貫くエーザイ:研究部門からスタートした数少ない企業

 

 エーザイは研究開発志向の強い製薬メーカーだ。対売上高研究開発費率は一四%と業界トップクラス。また、自社開発品の比率も高い。

 

 同社は、そもそも発祥形態が他の製薬メーカーとは異なっている。わが国の大手製薬メーカーの大半は流通からメーカーに変身したが、同社は研究部門からスタートした。

 

 研究開発重視の姿勢は、筑波研究学園都市進出にも表れている。国家的プロジェクトとして官・学の科学関連機関を中心に開発された筑波研究学園都市に、同社は八二年、リ民間としてはトップを切って本格的な研究所(筑波研究所)を設置。さらに、八九年に七階建ての新研究棟が竣工し、国際レベルの研究施設を整えている。

 

すでに三極体制を確立-残るは販売網の整備

 

 海外に目を向けてみると、八九年に設立されたボストン研究所は、ハーバード大学の教授を中心に創薬の基礎研究に取り組んでいる。九二年に完成したロンドン研究所は、世界をリードするイギリスの分子・細胞学研究をペースに、脳神経領域における医薬品創製の新概念の発見を目指している。

 

 ボストン研究所で発見された独創品の芽を育成すること、ロンドン研究所で創発された新概念を新医薬品創製へ具体化することは、筑波研究所の役割だ。

 

 また、米国ニュージャージーとロンドンに臨床開発拠点を設置しており、日米欧の三極研究開発体制を確立。自社で生み出した画期的な新薬の世界同時供給へ向けた準備は着々と整いつつある。

 

 残るは販売網の整備。海外で研究開発されたものが製品化されるまでには、まだかなりの時間を要するので、それまでに販売体制を確立することが今後の課題といえよう。

 

 研究開発領域は、とくに絞り込んでいない。「初めに患者ありき」が同社の新薬開発の原点で、消化器、筋・骨格、脳・神経、循環器、呼吸器・アレルギー、抗菌・血液の六領域で医薬品を供給している。「社会貢献できる薬剤の開発に力を注いでおり、消化器、循環器で強みを発揮している」(エーザイ広報室・内山武行課長)。

 

経常利益は九一年三月期をピークに横ばい状態

 

 同社の売り上げナンバーワン製品は、八四年11月に発売された胃炎・胃潰蕩治療剤「セルベックス」で、九二年度に売上高三四〇億円を記録し、九三年度は四〇〇億円に迫る勢いだ。

 

 組織活性型鎮痛・抗炎症剤「インフリー」、持続性ACE阻害剤「インヒペース」、新マクロライド系抗生剤「ルリッド」といった新製品は順調に売り上げを伸ばしているが、末梢神経障害治療剤「メチバコール」、脳血管性精神症状改善剤「セレポート」など、すでに年商一〇〇億円を上回っている主力製品(「セルベックス」は除く)の成長は鈍化している。

 

 ここ数年、大型新薬が上市されなかったこと、主力製品が伸び悩んでいることなどから、経常利益は九一年三月期をピークに高原横ば大型新薬を投入できるかどうかにかかっている。い状態が続いている。今後の成長性は、

 

 その新薬だが、現在、申請中あるいはフェーズⅢにある新薬が実に豊富だ。

 

 九三年末現在、申請中のものは、末梢動脈閉塞症治療剤「イロプロスト」、骨粗しょう症治療薬「グラケー」、非イオン性X線造影剤「イオメロン」、降圧剤持続性製剤「E1015」、第三世代の抗生物質「セポック」、強心剤「E1020」、偏頭痛薬「スマトリプタン」(日本グラクソが申請)の七品目。このうち、「グラケー」、「イオメロン」、「セポック」の三品目は大型化が期待されている。

 

 また、アメリカでも臨床試験中の抗潰瘍剤「E3810」も期待の新薬だ。発売は九五年以降になる見通しだ。

 

 さらに、日米同時開発中のアルツハイマー型痴呆治療剤「E2020」、アメリカでフェーズⅠが進行中の敗血症治療剤「E5531」にも大きな期待が寄せられている。

 

 これらの製品が順調に上市されれば、九〇年代後半の利益成長も可能だろう。

 

 

事業内容の多角化を推進、福祉活動にも注カ

 

エーザイの目指す企業像は「いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマンヘルスケア企業」で、「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を考え、そのベネフイット向上を第一義とし、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する」ことを基本にしている。

 

 事業内容も、医療用医薬品を中心にOTC薬(一般用医薬品)、医薬部外品、化粧品・入浴剤などの粧材品、栄養補助食品など、健康に関するあらゆる領域に拡大されている。また、診断薬事業など多角化も推進している。

 

 一方、福祉活動にも力を入れている。人類の疾病の予防と治療に関する自然科学の基礎的研究を奨励し、学術の振興と人類の福祉に寄与するために、六九年に「内藤記念科

学振興財団」を設立したほか、脚光を浴びることの少ない困難な医療環境のもとで、永年にわたり地域住民のために医療業務に従事した方々を顕彰する「医療功労賞」に協賛している。

 

 さらに、文化社会貢献活動の一環として、内外の薬に関する歴史的文化遺産を収蔵した「内藤記念くすり博物館」を岐阜・川島工園の一画に開設している。

 

 財務内容は、売上高利益率で四位、ROEで三位につけており、なかなかの水準だ。大手で借入金をゼロにした点も評価できそうだ。ただ、利益の伸びは足踏み状態 砂が続いている。