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世界をターゲットに経営戦略を推進する山之内製薬

 

 売上高、営業利益ともに業界第三位。収益性は高い。

 

 八一年に循環機能改善剤「ペルジピン」、八五年に胃炎・潰瘍治療剤「カスター」、八八年に脳血管障害性精神症状改善剤「エレン」と、現在の売り上げ上位ベスト三の製品を相次いで上市しか八〇年代には高成長時代を謳歌したが、近年は大型新薬の端境期に当たったため、利益成長は鈍化している。

 

 しかし、世界市場での活躍が期待されている前立腺肥大症の排尿障害改善剤「(ルナール」が九三年八月に発売されたのをはじめ、現在フェーズⅢにペネム系抗生物質「YM044」、前立腺肥大症治療薬「YM152」、フェーズⅡに骨粗しょう症治療薬「YM175」、制吐剤(過敏性腸症候群治療剤)「YM060」、アルツハイマー型痴呆症治療薬「YM796」など、大型化が期待される新薬が揃っており、再び高成長軌道に乗る日も近いとみられる。

 

 同社は、世界をターゲットにした経営戦略を推進している。目指す目標は、二一世紀初頭までに世界最高水準の研究開発力を持ったグローバル企業になることで、「二〇〇五年までに世界に通用する大型製品七品目の上市」を研究開発の大きな目標に掲げている。これだけ世界を意識した戦略は、ちょっと他に例をみない。

 

 研究テーマは、中枢神経領域、循環器領域、消化器領域、骨代謝領域を重点領域とし、高齢化の進展とともに増加する老人性痴呆症骨粗しょう症などの老人病、高血圧、心臓病、糖尿病などの成人病を重視している。社会と医療の変化を先取りしながら、研究開発に取り組んでいるといえよう。

 

 グローバル化では、研究開発から生産・販売までにわたる一貫体制の構築が欧米で順調に進展している。各国での運営は現地スタッフの手による自主運営、いわゆる「現地 主義」を基本ポリシーとしている点も、同社の国際展開の特徴といえよう。八〇年代がホップ、九〇年代がステップ、そしてニー世紀にジャンプというのが国際戦略のビジョンで、現在はステップの段階に当たる。グローバル化の条件は、一貫体制の確立と海外依存度が三〇%以上になることだ。

 

研究開発の世界三極ネット構築を目指す

 

 研究体制の強化を図るうえで、とくに注力しているのが基礎研究の充実だ。基礎研究は、従来、日本の製薬メーカーには不足していたが、今では不可欠といえる。創薬の夕ネを見つけないと、画期的な新薬はつくれないからだ。

 

 そこで、同社は、日本の研究資源だけを使っていたのでは幅が狭くなるとの発想のもと、欧米の先進知識も活用し、研究開発の世界三極ネット構築を目指している。

 

 国内の研究開発体制は、筑波研究センター、東京研究センター、焼津にある製剤研究所・健康科学研究所、東京開発センターからなり、筑波で新薬のタネを発見し、焼津で薬に仕立て、東京は有効性・安全性のチェックや臨床試験を担当するという分業を行なっている。

 

 一方、山之内イギリス研究所では、セル・バイオロジー(細胞生物学)を中心とした基礎研究を行なっている。セルーバイオロジーというのは、細胞レベルでの病理学的な現象を解き明かして新薬開発にアプローチするもので、世界でも新しい研究分野だ。炎症・血管新生・免疫などの領域で独創的な新薬の発見が期待されている。

 

 また、米ジェネティクス研究所と共同開発した骨形成蛋白(BMP)は、欠損した骨を修復するという、かつてない性質をもったものとして注目を集めている。目指すはもちろん、世界同時開発だ。

 

 

 MRの質向上、導入品による品揃えにも注力

 

 同社は、研究開発力の強化、海外拠点の構築とあわせて、国内営業力の基盤強化も重要戦略に掲げている。

 

 流通改善によって価格交渉ができなくなったMRには、当然、学術知識のレベルアップが求められる。同社は、MR一人一人にノート型パソコンを持たせ、学術情報を本社からアウトプットできるようにし、良質な情報に基づいた販売を心がけている。また、一つの病気だけでなく、相互的な領域で情報を提供し、相談にのるという領域戦略を推進している。

 

 なお、同社は従来、自己開発品の比率が高く、これが高い利益率につながっていたのだが、近年は導入品による品揃えにも取り組んでいる。

 

 研究開発にかかるコストと時間が膨らむ中、すべての分野を自前で揃えるのは難しい。かといって、品揃えも必要で、足りない分は導入品で補うことになる。

 

 導入品といっても、今やクロスライセンスの時代。こちらに有力製品がないと、他社の製品も導入できないわけで、「他社から製品を導入できることも企業の実力の一つ」(山之内製薬広報部・山崎佳弘次長)というスタンスだ。

 

 アメリカの「シャクリーコーポレーション」と「日本シャクリー」がグループ企業に加わったことで、コンシューマー事業への展開も本格化している。

 

 シャクリーは栄養補給食品、家庭用クリーナー、パーソナルケア製品などが主力で、子会社を通じて高級ギフト用フルーツとバラのメールオーダー事業も行なっている。

 

 山之内グループとしては、疾病の治療から予防、健康の維持、増進までをカバーする総合健康企業を目指している。

 

 財務内容を分析すると、売上高利益率は大手九社中ナンバーワンだが、逆に資本回転率は最下位で、株主資本利益率は四位になっている。