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 日本で大型合併が実現しうる条件とは

 

 日本の場合、大手が中小を合併するということも、これまではほとんどなかった。しかし、日本の製薬メーカー数と市場規模から判断すると、今後、合従連衡が繰り返される可能性は否定できない。それでも、二〇世紀中の大型合併は予想しにくい。

 

 それでは、どのような状況になったら、大型合併が実現しうるかといえば、まず、大手九社のうち一社が赤字に転落することが絶対条件だろう。

 

 「日本の製薬産業の場合、儲かっている企業は絶対合併しない」

 

 「大手が赤字になるような経営環境に直面しないかぎり、合併ムードは高まらない」

 

 こうした見方で、大手製薬メーカーはほぼ一致している。しかし、一社が赤字になるだけでは十分ではない。「業績のいい会社が業績の悪い会社を買うわけがない」(大手製薬メーカ古からだ。

 

 つまり、日本の風土では、二社以上赤字会社が出て初めて合併話か持ち上がることになる。人員削減、合理化しなければならない状況に追い込まれた企業同士が合併すればメリットはあるが、それ以外は……というところか。

 

 それに、たとえ経営的なピンチに立だされていても、一発ヒット(新薬開発)を当て ノれば復活できるということを、日本の製薬メーカーの経営者はよく認識している。

 

 赤字企業同士が合併して誕生した科研製薬は、当初はやはり赤字だったが、生化学工業から導入した変形性膝関節症治療剤「アルツ」が年商二〇〇億円と大型化し、一気に息を吹き返した。また、九二年以降、末梢循環障害改善剤「プロサイリン」など有力新薬が揃い、今ではすっかり成長企業に変身している。

 

 製薬メーカーの消長は、運・不運の要素も少なくないといえるだろう。このあたりは、他の産業とはちょっとちがうところだ。

 

 大手九社のうち二社以上が赤字に転落するという状況は、一〇年、二〇年先ならともかく、向う五年の間にはちょっと想定しにくい。

 

 加えて、わが国には銀行と企業の株式持ち合いという、合併の障壁になる制度も存在している。

 

 しかるに、近々日本の大手製薬メーカー同士が合併するという可能性は非常に低いといわざるをえない。「大型合併が続く」という予想は無責任すぎる。

 

 製紙、化学、非鉄などの業種では、生き残りを賭けた大型合併が相次いでおり、都銀同士でさえ合併している。この点、製薬メーカーの経営環境は恵まれているといえなくもないが、一方ではスケールメリ。卜の差もある。

 

 もし、製薬産業も新薬開発力ではなく販売力勝負ということになれば、大型合併が続くかもしれないが、それは製薬産業にとって健全な姿とはいえないのではないか。

 

 山椒は小粒でもぴりりと辛い―このたとえが、製薬産業の将来像に近いのかもしれない。