医療英語の翻訳会社BEST3

医学論文・治験文書・症例報告書・医療機器マニュアルなどの英語翻訳サービス

「知識不足のMR」と「忙しすぎる医師」

 

 

「医師は薬の添付文書なんかほとんど読まない」

 

 「総合病院の場合、ほかの科がどんな薬を出しているのかまず知らない」

 

 患者からみれば、ちょっと信じられない話だが、事実、九三年の秋に、薬の併用による副作用で一五人が死亡したことから、医療機関のこうしたずさんな投薬の実態が明らかになった。また、同年の末には、中央薬事審議会が製造承認を答申した抗ガン剤の臨床試験でコ二人が副作用で死亡していたことも発覚した。

 

 新薬、とくに抗ガン剤には副作用はつき物といわれている。患者に十分な体力がなかったため副作用で死亡してしまうケースもあるのだが、そうでないパターン、つまり薬の処方ミスは許されない。「診療に忙しく、薬の添付文書を読む時間がない」という医療機関の言い訳は、まさに言語道断である。

 

 とはいえ、現在使用されている医薬品は1000種類を超え、新薬も次々に登場しており、医師が薬の情報を正確に把握しにくくなっているのも事実。

 

 そこで、改めて存在意義が問われているのがMRだ。MRは本来、医療機関向けに医薬品情報を収集、提供することが主たる仕事のはずだが、流通改善以前はセールス、価格交渉、接待、営業ノルマ達成に走り、情報提供はフロクにすぎなかったともいわれている。

 

 ところが、建値制の導入以降、MRは医療機関と直接価格交渉をすることができなくなり、自社の医薬品の有効性や安全性などの情報を医師に伝えるというMR本来の業務に専念せざるをえなくなった。

 

 といっても、営業要員として採用した人に、いきなり薬学の知識を持てといっても、急には無理。また、贈収賄事件が頻発したことから、MRの訪問を制限する医療機関も出始め、途方に暮れたMRの間に。ルノアール症候群”が広がっているという。

 

 これは、時間を持て余したMRが、喫茶店で暇をつぶしているという意味だが、こんなことでは医療最前線の安全性確保はおぼつかない。

 

 とくに、先の薬の併用による副作用で患者が死亡した事件では、「MRが医療機関に安全性に関する情報を提供する際に、不備があった」と厚生省の調査で指摘されており、MRの意識改革、レベルアップは待ったなしの時期にさしかかっているといえる。喫茶店で暇をつぶしている時間などないはずだ。

 

 製薬メーカーはMRの教育・研修体制の整備を進めている最中だが、本来の業務を遂行できるレベルに達するにはかなりの時間を要するとみられる。

 

 MRも量から質への変化が求められている。と同時に、MRという仕事の持つ意義、専門性を十分評価できる待遇、あるいはランクづけなども必要になってこよう。

 

 「忙しすぎる医師」と「知識不足のMR」のしわ寄せが患者に及ぶようでは、医療に対する不信はいつまでたっても解消されないだろう。信頼回復のためにも、医薬分業を推進するためにも、製薬メーカーはMRのレベルアップに真剣に、かつ早急に取り組むべきだろうる。

 

 結局、今回の薬価改定で高脂血症治療薬二品の薬価は12.2%引き下げられたが厚生省のこうしたやり方は、外国人、とくに海外の投資家の人には相当、奇異に映っているようだ。個別企業の成長性を分析したうえで、製薬メーカーの株式も買っている海外の投資家にしてみれば、役人のご都合主義で企業の成長性が左右されるのなら、安心して日本株を買えなくなってしまう。